在銘「九谷」の骨董蓋付き茶碗7客です。
身と蓋には青と薄茶か草色の縦の線条が幾条にも引かれています。「麦わら手」と呼ばれる文様で、シンプルさに何か懐かしさを感じます。
身と蓋には線条だけではなく、窓絵のように、枠内に赤地に鳥などが金彩で描かれています。鳥は鳳凰でも鶴?でもなく特定の鳥ではないようですが。
共箱入りですが、その外観は汚れや傷みで年代を感じさせるには十分です。共箱の蓋の裏には「茶盌十人前入」と所有者の名「松原?権?八」が。
出品は7客ですが、3客には欠け、ヒビが見られるため出品はしていません。金継ぎで手直ししていただくと、違った味わいがでるのではと思います。3客を別途出品予定です。
出品の7客は目立った汚れや欠損はほぼありませんが、製造由来の傷が僅かに見られます。ニュウ(釉薬の下の胎土にできたヒビ)やフリモノ(器体の表面にできた黒褐色の点)など。
大きさ(㌢)重さ(㌘)およそ次の通りです。
大きさはそれほど差がなく任意に選んだ1客の数値です。
【茶碗身】
口外径11、口内径10.8、高さ(蓋無)6、高さ(蓋有)7.7、高台0.6、底径3.8/
【茶碗蓋】
口外径9.9、摘み高0.7、摘み径3.7/
【茶碗】
重さ197、200、207、218×2、
223、229/
【共箱】
縦幅26.7、横幅13.3、高さ24.5/
重さ(7客含)2325㌘/
九谷焼は、「九谷五彩」と呼ばれる鮮やかな美しい上絵、金蘭手、青九谷、赤絵、などの技法が特徴的です。
古九谷が廃窯となった約100年後の江戸後期から明治にかけて九谷焼が再興、吉田屋、永楽、九谷庄三などさまざまな窯元や作家が輩出され、再興九谷以降、「麦わら手」は多くの作家により独自に発展し現在に続くと解説。
再興九谷の中で、高級感のある鮮やかさとは対照的なシンプルな「麦わら手」は、飯茶碗や湯呑み茶碗など庶民の日常食器の文様として、明治以降に発展してきたと考えられます。
飯茶碗の「麦わら手」のほとんどは線条だけの文様、出品のように一部に金彩の(窓)絵が描かれたものは容易に見つからず、希少な蓋付きの飯茶碗だと思います。薄作りに作陶され、シンプルな線条の中に金彩の上絵付け、作家は、日常とは違う味わいを楽しめる器に仕上げたのでは、出品者の独断ですが。
明治時代のものだと思います。お使いいただければ幸いです。
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