浮田克躬
美術年鑑 2015年 物故欄掲載
評価額 1号につき 200万円
浮田克躬(1930年2月17日生まれ、1989年没)は、東京都杉並区出身の洋画家で、一水会会員および日展評議員を務めました。幼少期に母方の祖父である浮田和民に育てられた後、東京美術学校油画科に進学し、安井曽太郎や伊藤廉に師事しました。1950年に新制作派協会展で初入選し、その後、一水会や日展で多くの受賞歴を重ねました。特に1958年には「丘の工場」で日展特選を受賞、1967年には「サンマルタン水路」で再び特選を受賞しました。また、西欧や中南米を旅し、その風景を堅牢な構築性と重厚なマチエールで描いた作品が高く評価されました。1986年に「城砦の島」で第4回宮本三郎記念賞を受賞するなど、鋭利な構図と色彩感覚が特徴的な風景画家として知られました。享年59歳。
浮田克躬「ドルドーニュの城門」油彩 SM
《ドルドーニュの城門》は、フランス南西部ドルドーニュ地方の古都を題材に描かれた油彩画です。画面中央には、長い年月を経た石造りの城門が堂々と描かれ、そのアーチの奥には、ゆるやかに続く路地が静かに伸びています。さらに視線を上に向けると、丘の上に建つ教会の尖塔が姿を現し、赤い屋根とともに、金色に染まる街並みの中で印象的なアクセントとなっています。全体を包む黄土色や赭色(しゃしょく)の温かい色調は、古い石壁に射し込む柔らかな陽光を思わせ、長い時の流れとともに刻まれた風景の深みを感じさせます。
浮田克躬特有の厚塗りによる重厚なマチエールは、力強い筆致で構成されており、石壁や屋根瓦の質感を生々しく表現しています。荒々しさの中にも緻密な構築性があり、画面全体に漂う静けさの中に、時の重みと人の営みへの温かな眼差しが感じられます。構図は堅牢でありながら詩情に富み、明暗の対比と奥行きのある遠近表現によって、見る人を絵の奥へと誘います。浮田克躬(1930–1989)は、安井曽太郎や伊藤廉に師事し、一水会や日展で数多くの受賞を重ねた洋画家です。彼は西欧や中南米を旅し、各地の街並みや建造物を通して「時間の痕跡」を描くことを生涯のテーマとしました。本作《ドルドーニュの城門》は、その代表的な主題を端的に示す作品であり、堅牢な構図と温かい色彩の調和が、画家の円熟した感性を見事に表しています。
真作
タイトル: 「ドルドーニュの城門」
布タトウ
技法: 油彩
作品寸: 22.7 × 15.8 cm SM号
作品状態: 概ね良好
額寸: 38.5 x 31.5 cm 豪華額装
額装状態: 概ね良好
マット部少シミ 有
発送サイズ「100」
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