石本正
美術年鑑 2015年掲載
〈1920-2015〉 舞妓や裸婦の官能的な表現で知られる日本画家、石本は島根県浜田市に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学んだ、その後、日本だけでなくヨーロッパの中世美術も広く研究・吸収して確立した情熱的でリアリティーあふれる舞妓や裸婦像は、戦後日本画の人体表現に新風を吹き込んだ、1971年に日本芸術大賞、芸術選奨文部大臣賞を立て続けに受賞したが、以降はすべての賞を辞退、地位や名声を求めることなく、最期の瞬間まで絵画一筋に生きた
石本正「裸婦素描」素描 日本画 10号大 共シール
本作「裸婦素描」は、戦後日本画において人体表現の新たな地平を切り開いた石本正による、静けさと精神性に満ちた一作です。白い余白を生かした画面には、繊細な鉛筆の線と淡い陰影によって、静かに佇む女性像が描かれています。モデルは目を閉じ、観る者の視線を受け止めるのではなく、内面へと沈み込むように描かれています。その姿には、単なる官能ではない、存在そのものの美しさと深い祈りのような静寂が宿っています。
石本正は1920年、島根県浜田市に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学びました。戦後の混乱期において、日本画の伝統的技法に西洋美術の写実性と精神性を融合させ、舞妓や裸婦といった主題を通して生命の尊さと清らかな官能を追求しました。1971年には日本芸術大賞と芸術選奨文部大臣賞を相次いで受賞し、その名を確かなものとしましたが、以後はすべての栄誉を辞退し、生涯を「描くこと」そのものに捧げました。
本作に見られる「素描」という形は、石本が求め続けた絵画の根源を最も端的に示しています。線は驚くほど静かで、陰影は息づかいのように軽やかです。衣の透ける質感や柔らかな肌のトーンには、物質としての肉体ではなく、精神の宿る“存在”としての人間が表れています。装飾を排した簡潔な構図と、白の余白がもたらす緊張感が、作品全体に深い静けさを漂わせています。石本が晩年に語った「裸婦は、魂のかたちを描くための題材である」という言葉のとおり、本作には官能と崇高さが見事に共存しています。わずかな線の中に、生命の儚さと美の永遠性が息づき、石本が一生をかけて探求した“心と肉体のあいだ”の世界が凝縮されています。「裸婦素描」は、簡潔さの中に究極の精神性を宿した、石本芸術の本質を象徴する一枚といえるでしょう。
真作
タイトル: 「裸婦素描」
共シール 布タトウ
技法: 素描 日本画
作品寸: 54.5 × 39 cm 10号大
作品状態: 左首脇・左下部背景に少シミ 有
額寸: 71.5 x 56.5 cm 高級額装
額装状態: 少傷 有
発送サイズ「160」
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